※このスレはTYPE-MOON作品の一つ、『Fateシリーズ』のスマホゲーム『Fate/Grand Order』のSSスレです。
※>>1の主観、プレイ進度、自己解釈などを含みます。
※ネタバレ、キャラ崩壊、理解不足など、世界観を壊す恐れがあります。
以上がOKならば、Orderを開始します。
呪腕「ナイチンゲール殿?」
静謐「……うん」
百貌「そうか? 確かに治療に関しては異常と言えるが」
呪腕「……あ、もしや」
静謐「……この前――」
~~~~~
ナイチンゲール「静謐さん」
静謐「?」
ナイチンゲール「解毒剤です。どうぞ」
静謐「」
~~~~~
静謐「――わ……私の存在を全否定……」 カタカタ
呪腕「おおう……」
百貌「というか、静謐の解毒剤を作れるのかあの女は……」
静謐「……エジソンさんに……手伝ってもらったって……」
呪腕「本当に万能ですな、彼の方は」
百貌「おい、テスラの奴に聞かれたら面倒だぞ」
呪腕「はは、確かに」
静謐「……テスラさんは……たまに身体に触ろうとしてくる……から、怖い」
百貌・呪腕「!?」
百貌「野郎ぶっ殺してやる!」 ジャキン
呪腕「セクハラですぞ! セクハラですぞ!」 クワッ
静謐「ぁ……あ……そ、そうじゃなくて――」
~~~~~
テスラ「おお静謐、ちょうど良いところに」
静謐「?」
テスラ「お前の肉体に満ちている毒は、人類の化学では解毒できないそうだな?」 ズイ
静謐「は、はい……だから、あまり……近づかない方が……」
テスラ「新たな電気分野の材料になるやもしれん。爪の先でも良いから寄越すが良い」 ニッコリ
静謐「」
~~~~~
静謐「――1回断ったら……だんだん、不意打ちで採取しようと……」 シクシク
百貌「おおう……」
呪腕「確かに、半導体に使われるホウ素なども人体には毒ですからなあ」
百貌「そういう問題ではなかろう!」
静謐「昨日なんか……物陰から、いきなり出てきて……」 プルプル
呪腕「暴漢さながらですな……」
百貌「野郎、いつかシメる」
静謐「マシュが……お説教してくれたから。大丈夫」
呪腕「マシュ殿には日頃から仲良くしていただいておりますからな」
百貌「最近、以前にも増して凛々しくなってきたようだ」
呪腕「愛らしさと凛々しさを兼ね備えるなど、女性の理想では?」
百貌「私に聞くな」
静謐「おっぱいも、おっきい」 ムフン
呪腕「ブフォ」
百貌「(それな)」
静謐「枕にすると、幸せ」
呪腕「ま、枕……」
百貌「(羨ましい)」
静謐「おしりも、良い形」 ワキワキ
マシュ「静謐さんそこまでです!///」 バン!
百貌・静謐「!?」
呪腕「マシュ(おしり)殿!?」
マシュ「晩御飯に呼びに来てみれば、何を話してるんですかっ!///」 タユンッ
静謐「マシュの、マシュマロについて」 ムフン
マシュ「誰のどこがマシュマロですか!? というか何故静謐さんが自慢気!?」 プリンッ
呪腕「…………」
百貌「呪腕、なにを見ている?」
呪腕「レオニダス殿から頂いたマッスルポーズ集ですか?」
百貌「マシュを見なくて良いのか?」
呪腕「はて? なぜマシュ殿を見なくてはならないのですか?」
百貌「たゆんたゆんだぞ?」
呪腕「それが?」
百貌「ぷりんぷりんだぞ?」
呪腕「それが?」
百貌「ぴっちぴちd」
呪腕「《妄想心音(ザバーニーヤ)》!」
百貌「危ねっ!!」
マシュ・静謐「!?」
百貌「なにをする!」
呪腕「シャアッ!!」 シュバッ
マシュ「どどどうしたんですか急に!?」 ユサッ
静謐「呪腕も……所詮はオス……」
呪腕「黙れぃっ!!」
~~~~~
マシュ「お、落ち着きましたか?」
呪腕「すみませぬ……」
マシュ「いえ……」
呪腕「すみませぬが……私の正面に立たないでいただきたい……」
マシュ「えっ……あの、私何かしてしまいましたか……?」
呪腕「屈まないでいただきたい!」
マシュ「ええっ!?」
静謐「呪腕は忙しい、から……後でね……」 グイグイ
マシュ「いえでも」 ユサユサ
静謐「いいから」 グイグイ
マシュ「ちょ、ちょっt」 ユサユサ
パタン…
呪腕「…………」
百貌「呪腕の」
呪腕「言うな……」
百貌「ぼっk」
呪腕「言うなっ!!」
~~~~~
マシュ「呪腕さん大丈夫でしょうか……」
静謐「大丈夫……ちょっと元気になっちゃった、だけだから……」
マシュ「元気に……?」
静謐「晩御飯、なに?」
マシュ「あ、そうでした。今日はお鍋ですよ」
静謐「お鍋……」
マシュ「寄せ鍋です! みんなでお鍋を囲んで、突っついて食べるそうですよ」
静謐「みんな……で……?」
マシュ「はい。とは言っても、私もまだ食べたことはないんですが……」
静謐「私……」
マシュ「皆さんも待ってますから、早く行きましょう!」 ギュ
静謐「……ぁ、うん……」
~~~~~
ガチャ
マシュ「皆さん、静謐さんをお連れしまし……た……?」
静謐「? まっくら……?」
「ふはははははは! よく来たな静謐の!」
静謐「!?」 ビクッ
マシュ「く、暗闇の中から高笑いが!?」
「ニコラ・テスラ、急に立ち上がらないでください。テーブルが揺れて鍋がひっくり返ったらどうするんですか? 私の眼の前で怪我人を作るつもりですか?」
「落ち着きのないやつだな。やはりこんな負け犬は抜きにして鍋を楽しんだ方が」
「誰が負け犬だと? この獣面!」
「なんだ? 私に先を越されたのがそんなに悔しいか! はっはっは!」
「先を越されてなどいない! サンプルの調達に苦労しただけだ! 研究時間は私の方が短いだろうが!」
「はっはっは! はっはっは!」
「うるさいですよ二人とも。静謐さんが怯えています」
マシュ「お二人はいつものこととして、この声は……ナイチンゲールさん? というか、電気点けますね」 カチ
パッ
ナイチンゲール「はい、私です」
テスラ「私だ」
エジソン「いいや私だ」
パラケルスス「私もいるぞ」 ヌッ
マシュ「ひっ!? い、いたんですか……」
ナイチンゲール「ええ、私が呼びました」
静謐「あんまり見ない、組み合わせ……」
マシュ「確かに……でも、皆さん科学者や錬金術士、そして看護師さんなど、ややインテリっぽい統一感はあるようなないような」
呪腕「おお、ここでしたか」 ガチャ
百貌「腹が減った」
マシュ「呪腕さん、百貌さん」
テスラ「ふむ、ハサン組はこれで全員か」
マシュ「他にも誰か?」
エジソン「主に子供たちだな」
マシュ「子供?」
「おかあさーん!」 ドーン!
マシュ「ひゃあっ!?」
ジャック「お母さんお待たせ!」
ナーサリー「ごめんなさい、準備をしていたら遅くなっちゃって」
マシュ「ジャックちゃんにナーサリーちゃんですか……準備?」
エリザベート「私もいるわよ!」
茨木童子「お菓子があると聞いて」
マシュ「エリザベートさんに茨木童子さん。お菓子?」
ナーサリー「あるわよ! ほらっ!」
茨木「くれ!」 グワッ
ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ「まだダメです!」 ベチッ
茨木「へぷっ」
オルタちゃん「油断も隙も無い……」
アナ「お楽しみは、これから」
マシュ「オルタちゃんにアナさん……お楽しみとは?」
アナ「……なにも聞いてないの?」
マシュ「私は、みんなでお鍋をするとしか……」
アナ「はぁ……ニコラ・テスラ?」
テスラ「反対される危険をなぜ犯すのか?」
エジソン「マシュ嬢、私たちはこれをするのが夢だったのです。お許しを」
ナイチンゲール「大丈夫です。病気にならないよう、対策は万全です」
静謐「…………」
マシュ「え、えっと……どういうことですか?」
ジャック「今日はね! おかあさん!」
ナーサリー「ヤミナベ、っていうのをするのよ!」
茨木「我はお菓子を食いにきただけだが」
アナ「と、いうわけです」
呪腕「なっ」
百貌「なんだと!?」
マシュ「ヤミナベ……? とは、一体何ですか? 闇?」
エリザベート「闇鍋ってのはね……こういうことよ!」 ブツンッ
パッ
オルタちゃん「ぴっ!」 ビクーン
ナーサリー・ジャック「きゃーっ!!」>ヮ<
マシュ「な、なぜ電気を消したんです!?」
エジソン「それはn」
テスラ「闇の中でするから闇鍋なのだ!」
エジソン「貴様! ヒトの台詞を!」 ガタッ
テスラ「なんだ? ん? やるか?」 ガタッ
ナイチンゲール「貴方達、いい加減にしないと鍋の具材にしますよ?」
静謐「こんな真っ暗、だと……お鍋が見えない」
マシュ「静謐さんの言う通りです。お鍋は火を使いますし、せめて少しぐらい明かりを……」
エジソン「心配ご無用! このスイッチをおせb」
エリザベート「ポチッとな」
エジソン「あっ!」
ブゥウウウン…
静謐「!」
百貌「これは……」
呪腕「鍋の下にほのかなあかりが……」
ナーサリー「わあ! きれい!」
ジャック「お鍋の下が血の色みたいに光ってる!」
オルタちゃん「その表現のしかたはちょっと……」
茨木「なんだ、これは?」
テスラ「これはIHというものだ」
ナイチンゲール「火による火傷、火災、ガス爆発の危険も無い、お鍋のみを温めてくれる優れものです」
エジソン「エルキドゥ殿に頼んで作ってもらった土鍋の中に鉄板を仕込んである。効率は少々落ちるが、充分な温度は確保できる」
テスラ「ふははは! これが電磁気学の進歩の賜物だ!」
マシュ「なるほど、お鍋の下から明かりが出ていれば、お鍋や取り皿の中身は見えなくても、こぼしたりする危険は少なくなるというわけですね」
アナ「流石てすね」
テスラ「ふはは、科学はヒトの役に立ってこそだからな。雷電をバリバリやるだけが私ではないのだ。むしろこっちが本業だ」
エジソン「まて! 今回は共同制作のはずだぞ! LEDと外装部分は私の力だ!」
テスラ「愚か者! こんなモノ誰でも作れるわ!」
ナイチンゲール「うるさいですよ」 ドゴォッ‼︎‼︎
エジソン「」 WEAK△13825
テスラ「」 WEAK△12567
ジャック「おかあさんつよい!」 キャッキャ
ナーサリー「つよーい!」 キャッキャ
百貌「闇鍋……闇、鍋……闇……ニコラ・テスラを闇討ち……?」
呪腕「やめんか」
ナイチンゲール「さて、馬鹿二人は放っておいて、闇鍋を始めましょう。下拵えは既に終わっていますので、後は具材を入れていくだけです」
静謐「? 入れる?」
マシュ「具材は入っていないのですか?」
エリザベート「そうよ。真っ暗な中、誰が何を入れたのかわからない状態で、みんなでお鍋を突っつくの。面白いでしょ?」
茨木「何を入れても良いのか!?」 ガタッ
百貌「常識的にな」
ナイチンゲール「消化できれば何でもありです。無機物はお腹を壊しますから無しですね」
アナ「選択肢が広すぎるでしょう」
マシュ「しかし、私とハサンの皆さんは何も持ってきていないのですが……今から何か買うとなると時間もかかりますし……」
ナイチンゲール「心配には及びません。某騎士の方が、有り余るほどの食材を提供してくださいました」
マシュ「某騎士?」
ナイチンゲール「パパです」
マシュ「なるほどよくわかりましたからそれ以上言わなくて良いですよ」
ナイチンゲール「ランスr」
マシュ「言わなくていいですよっ」
テスラ「反抗期か? マシュ・キリエライト」
ナーサリー「はんこうき?」
エジソン「親に対して、何でもかんでも取り敢えず反発したくなる時期のことだ」
ジャック「おかあさん、はんこうき?」
マシュ「違いますっ! 変なこと教えないでください!」
ナイチンゲール「また話が逸れてしまいましたね。お鍋もいい加減煮立ってしまいますし、早く具材を入れましょう」
テスラ「ではまず私から」 ドボン
エジソン「私も入れよう」 ボチャン
呪腕「音から察するに、そこそこ大きめのモノですかな?」
テスラ「デンキウナギだ」
エジソン「デンキナマズだ」
百貌「二人とも、無理に自分のキャラに合わせなくともいいのだぞ」
テスラ「日本人はウナギを目出度い時に食べると聞いたのだが、違うのか?」
エジソン「最近はナマズが代用品として売られているらしい」
マシュ「そうらしいですね。私はいただいたことはありませんが」
静謐「……? めでたい? 何か、あったの?」
マシュ「確かにそうですね。テスラさん、何かあったのですか?」
テスラ「む? ……いや、特に無いが、催事に食べるのならば、よほど美味いのだろうと思ってな」
エジソン「そういえば、この中で日本人(?)は茨木童子だけだな。ウナギは美味いのか?」
茨木「人の肉の方が旨い」
呪腕「おぬしはそうであろうな……」
茨木「でもお菓子はもっと美味い!」 ベチャベチャッ
百貌「……ん? おいなんだ今の水音は? おい! 茨木童子、貴様まさか!」
ナーサリー「あーーっ!!」
ジャック「ナーサリー?」
ナーサリー「わわわ、私のお菓子がーー!!」
茨木「お菓子は美味い! だからお菓子鍋もきっと美味いぞ!!」 フンス
オルタちゃん「」
テスラ「馬鹿か貴様! いや馬鹿であったな!」
エリザベート「うぇ……ウナギの脂の匂いとお菓子の甘い匂いが……」
呪腕「カオスですな」
マシュ「なるほど……これが闇鍋の恐ろしさなのですね……」
ナイチンゲール「ルールは逸脱していませんから大丈夫です。味は別として」
エジソン「確かに消化はできるが……」
エリザベート「はあ……これは一人で楽しむ予定だったけど、仕方ないわね」 スッ
ドボボボ……
マシュ「…………あの、LEDの光に照らされたせいか、エリザベートさんがお鍋に注いだ液体が赤色に見えたのですが……」
エジソン「えっ」
テスラ「なっ」
百貌「ま、まさか……?」
呪腕「い、いやいや流石にそれは食べ物とは呼べない……」
エリザベート「ふふ、みんなも予想がつき始めたようね……。これは……」
マシュ・静謐「ひっ」
ナーサリー「ぐすぐす」
ジャック「よしよし」
ナイチンゲール「…………」
茨木「?」
エジソン・テスラ「ゴクリ……」
エリザベート「――トマトジュースよ!」
呪腕・百貌「そっちかよ!!」
マシュ「どちらにしてもカオスです……」
ジャック「なんかいろんなにおいがして気持ち悪い……」
エリザベート「お菓子さえなければ割とまともだけどね」
テスラ「このアホ鬼が」
茨木「我はアホではない!」
アナ「いいえ。まごうことなきアホ鬼です」
茨木「なんだと!」
オルタちゃん「アナさん、言い過ぎですよ」
アナ「後でいただくはずだったお菓子を台無しにされたのです。これぐらい言って当然です」 ゴゴゴゴ…
オルタちゃん「まあ、たしかに……」
百貌「二人も楽しみにしてたんだな……」
ナイチンゲール「いい加減に食べましょう。いつまで経っても片付きませんから」 カチャカチャ
マシュ「こ、これを食べるんですか?」
ナイチンゲール「消化して仕舞えばただの栄養素の塊です。味は別として。はい、どうぞ」
マシュ「あ……ありがとうございます……」
ナイチンゲール「お二人も、どうぞ」
百貌「い、いや私は……」
呪腕「わ、私どもよりもそちらのお二人を先に……」
テスラ「(おいやめろ)」
ナイチンゲール「おや、お腹が痛いのですか?」
呪腕「そういうわけでは……」
ナイチンゲール「 治 療 が 必 要 で す か ? 」
オルタちゃん「ぴっ!?」 ビクーン
百貌・呪腕「頂きます!」
アナ「あまりこっちに近づかないでください。臭います」
百貌「好きで臭ってるわけではない! というかその言い方はまるで私が臭いみたいではないか!」
静謐「…………加齢臭?」
百貌「やめろ!!!!! そういうのは私より呪腕のイメージだろう!!」
呪腕「!?」ガーン‼︎
ジャック「くさーい!(お鍋が)」
ナーサリー「くさぁい!(お鍋が)」
呪腕「!!??」 ガガーン‼︎‼︎
エリザベート「あははははは!」
マシュ「え、エリザベートさん笑い過ぎですよ! 大丈夫です呪腕さん! 臭くないですから!」
呪腕「ま、マシュ殿……」 クルッ
マシュ「ゔっ……!」 フイッ
呪腕「ち゛く゛し゛ょ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」 ガッ‼︎
マシュ「ああっ! 違うんです呪腕さん! お鍋が! お鍋が臭かったんです! …………呪腕、さん?」
呪腕「げ、ぶぉ……っ!」 ビクンッ
マシュ「え?」
エジソン「呪腕の奴め……絶望のあまりこの鍋を食ったか……」
テスラ「ふむ、『アサシンにはメシマズが有効』。覚えておこう」
マシュ「言ってる場合ですか! 呪腕さん、しっかり!」
ジャック「ねえねえおかあさん」 クイクイ
マシュ「え? な、なんですかジャックさん? 今は呪腕さんの蘇生をしないと……」
ナーサリー「このお鍋、お薬みたいな味がするの~……」
マシュ「お薬、ですか? 誰か入れましたか?」
オルタちゃん「私は違います! お料理におクスリなんで入れたら、みんなHIGHになっちゃいますよ!」
アナ「私も違うわ。……というか、発想だけはオルタ的なのね」
オルタちゃん「ちなみに、私はシカ肉を持ってきました!」 フンス
ジャック「しか」
ナーサリー「にく?」
エリザベート「それってまさかトナカイ的な……?」
オルタちゃん「そんなわけないでしょう! トナカイさんを食べるなんて! そんな、そんな……」
マシュ「……オルタちゃん?」
オルタちゃん「トナカイさんを食べることで……トナカイさんと私は一つの存在に……?」
マシュ「オルタちゃん!?」
オルタちゃん「はっ!? いいいいえいえいえにゃにみょゆってなぃへしゅっ!!」 ブンブンブン‼︎‼︎
アナ「貴女、ちょっと落ち着きなさい」
マシュ「というか、まさか呪腕さんはその混入した薬のせいで?」
百貌「いや、我々《山の翁》は基本的に耐毒スキルを持っているからそれはない」
マシュ「そうですか……。それでは何故、呪腕さんは気絶を……」
百貌「まあ、何事にも例外はあるがな」 チラ
静謐「…………………」
アナ・エリザベート「…………」
ジャック・ナーサリー「?」
オルタちゃん「ぁ……」
マシュ「…………っ、そんなこと!」
百貌「関係無いか? 今日の夕餉が鍋というのを聞いてから言おうと考えていたが、皆が皆、マシュやマスターのように高い耐毒スキルを持っているわけではないのだぞ」
マシュ「でも、静謐さんが今そうする理由はありません!」
百貌「それこそ関係の無い話だ。静謐の毒は注せば、殴れば、触れれば、擦れ違えば、相手を蝕む。今この時も、此奴が自分の毒を必死に抑えつけているのがわからないのか」
マシュ「っ……」
百貌「マシュに出会って、マスターに出会って、このカルデアに来て、静謐は本当に楽しそうだ。それは感謝している」
百貌「しかし、それでも、我らは《山の翁》なのだ。これは我らの存在意義であり、ここにサーヴァントとして召喚された理由だ」
百貌「皆を責めているのではない。ただ、忘れないで欲しいのだ。此奴がもしも何かの弾みで誰かを自らの意思と関係無く殺してしまったなら……。その危険が常にあることを忘れないで欲しい」
マシュ「…………っ」
静謐「……マシュ……」
マシュ「静謐さん……っ!」
静謐「……大丈夫……私、大丈夫……だから。昔から、私が……《山の翁》になった時から……ううん、そうなる前から、私はずっと一人だった」
静謐「でも……みんなと会えた。マシュやマスターと、触れ合って……あったかくて。みんな……優しくて……」
静謐「…………だから、私、全然平気……だよ。凄く、幸せ。みんなが、そうして私達の心配を……してくれる、のが、凄く、嬉しいから……」 ニコ
マシュ「静謐さん……」
ナイチンゲール「はい、あーん」 グイ
静謐「むぐっ!?」
マシュ「!?」
ナイチンゲール「どうですか? 酷い味でしょう? トマトの酸味と出汁の風味とお菓子の甘みといろんなものが混ざって、これはもう本当に酷い。どうぞ」 モグモグ
エジソン「うむ、これは不味い。薬の味もあるし、こんなモノは食べたことがない。ほれ」 モグモグ
テスラ「これを料理と形容するのは科学一辺倒の我々と言えど、なかなか躊躇うものがあるな。いやしかし酷い味だ。ごちそうさま」 モグモグ
マシュ「な、ナイチンゲールさん、何を!?」
静謐「ぁ…………あっ……!」
百貌「馬鹿な! 貴様ら今、静謐が口を付けた箸でそのまま……!?」
ナイチンゲール「…………ふむ」
静謐「…………え?」
ナイチンゲール「何ともないようですね」
エジソン「うむ。成功だな」
テスラ「あとは味の改良も必要だな。これは本当に不味いぞ」
呪腕「…………なるほど、そういうことでしたか」 ムクリ
マシュ「呪腕さん?」
呪腕「パラケルスス殿が先程この鍋に入れた薬品。これは静謐の毒を中和するものですな?」
パラケルスス「…………バレていたか」
アナ・オルタちゃん・エリザベート「(いたんだ)」
ジャック「いたの?」
ナーサリー「忘れてたわぁ♪」
マシュ「というか……」
静謐「中……和?」
百貌「なんと!?」
テスラ「ふん、凡人もここまでヒントを出してやれば理解できるか」
呪腕「はは、おかしいとは思っていたのですよ。エジソン殿やナイチンゲール殿が解毒剤を作っていたことも、同時期にテスラ殿が静謐の毒を欲しがっていたのも」
エジソン「我々は手伝っただけですがね。ちなみに、パラケルスス殿も協力者だ」
呪腕「これは、主犯はナイチンゲール殿ということですかな?」
ナイチンゲール「はい。主犯、という名前は看護師としてあまり名誉ではありませんが」
静謐「……どういう、こと……?」
ナイチンゲール「静謐さん。私は看護師です」
静謐「……?」
ナイチンゲール「私の夢はこの世から患者を無くすこと。切り落としてでも治療し、燃やしてでも消毒し、殺してでも治す。それが私です」
ナイチンゲール「貴女は病死する可能性がありました。それは決して私の看過できるものではない。私にとっては患者です」
静謐「病、死……?」
ナイチンゲール「『孤独死』というのをご存知ですか、静謐さん? 一人暮らしのご老人などが、誰も知らぬうちに、誰に看取られることもなく、独りで死んでしまうことです」
ナイチンゲール「これは厳密には病死と言えません。そもそもヒトは死ぬときは独りで死ぬものですし、死んでしまえば独りなのですから」
ナイチンゲール「しかし、『孤独は人を殺す』ものだと、私はそう思うのです」
ナイチンゲール「孤独死とは、ただの風邪でも、誰も看病する者がいないから、誰も気づいてくれる人がいないから、誰も心配してくれる人がいないから、その患者が『孤独であるから』死んでしまうということです。『孤独に追い詰められて』死を選ぶ者もいます」
ナイチンゲール「『孤独』とは解明不可能の病原菌も同じです。そして貴女はその病原菌に蝕まれつつあった」
ナイチンゲール「部屋からできるだけ出ずに、食事もみんなと時間をずらして、お風呂も気を遣い、寝ている最中に誰かを殺してしまわないか不安で目が醒める」
ナイチンゲール「貴女は酷い孤独の中にいる。心が満たされていても、どこか無意識のうちに一歩引いてしまう」
ナイチンゲール「マシュさんやマスターのように自分の毒が効かない人にも積極的に甘えることができない。溢れるような笑顔を見せることができない」
ナイチンゲール「貴女は孤独に、自らの毒と戦っていました」
静謐「…………っ!」
ナイチンゲール「私は看護師です」
ナイチンゲール「私には患者を治す責務がある。夢がある」
ナイチンゲール「しかし、貴女の孤独の原因である毒は病気ではありません。それは体質のようなもの」
ナイチンゲール「わかっていたはずでしたが、考えが浅かった。解毒剤を渡そうとしたのは貴女を否定したかったのではなく――」
静謐「ぁ……」
ナイチンゲール「――貴女が一瞬でも、一歩でも他の誰かに近づけるように作った、試作品だったのです」
ナイチンゲール「言葉足らずで傷つけてしまい、すみません。私は貴女の孤独を悪化させてしまった」
静謐「そんな、こと……っ」
ナイチンゲール「だから、私はエジソンさんとパラケルススさんと、別に静謐さんの解毒剤を作っていたテスラさんにも声をかけて、『他の方の体質を変化させ、静謐さんの毒に一時的に耐えられるような薬』を作ってもらいました」
ナイチンゲール「貴女の毒は病気ではない。ならば」
ナイチンゲール「『貴女の毒に耐えられないことこそが病』なのです」
テスラ「ふはは、なんとも突拍子も無い論調であろう?」
エジソン「最初に聞いたときは、流石バーサーカーは思考が違う、と思いましたが」
パラケルスス「しかし、その想いは」
テスラ・エジソン・パラケルスス「悪くない」
エジソン「約五ヶ月、思ったよりも苦労した」
テスラ「30を超える毒素が常に分裂と結合を繰り返して、そのパターンは200以上」
パラケルスス「錬金術を駆使しても、なかなかうまくいかなかった」
ナイチンゲール「しかし、お三方はこの短期間で私の注文をクリアしてくれました。これが、体内の酵素と反応し、静謐さんの毒を中和する薬です」 チャプ
ナイチンゲール「これを静謐さん以外の患者たちに投与するとこで、一時的に静謐さんの毒に耐えることができるようになる」
ナイチンゲール「『貴女の毒に耐えられない病気を治療』し、そして、『貴女の孤独を治療』する」
静謐「っ……!」
エジソン「まあ、まだ研究段階だがね。こんな味では……」
テスラ「皮膚に塗布するものも作っているが、酵素が無い分他にもいろいろと加えねばならん」
パラケルスス「しかし、研究を進めるためにはサンプルが足りない」
ナイチンゲール「静謐さん」
静謐「は、い……」
ナイチンゲール「『皆さんの治療のために、貴女の身体の毒を役立てて』くださいませんか?」
静謐「っ……! ――――はいっ!」 ニコッ
~~~~~
エミヤ「静謐の、晩飯ができたぞ。配膳を手伝え」 ガラ
静謐「うん。いま、いく」 テテテ
マシュ「私も手伝います」
呪腕「まだ塗布薬は完成していないのだから、うっかり触らぬようにな」
静謐「うんっ」 ニコ
百貌「ふふ……なんだか、引っ込み思案の娘が旅立っていくような気持ちだなあ」
呪腕「ナイチンゲール殿をはじめ、このカルデアの皆には感謝しても仕切れぬ。ここに来て良かったと、本当に心からそう思う」
百貌「エロ写真が貰えるからか?」
呪腕「違う!! というか、貰ってなどいない! あれは彼奴が勝手に……!」
黒髭「ふひひww 呪腕の旦那ぁ~」 ソローッ
呪腕「また来たか貴様!」
黒髭「オロ? 待ちわびてたでござるか? 待ちわびちゃってた感じでござるか?wwww」
呪腕「貴様本当に殺すぞ!」
黒髭「え~いーいのーかなぁ~。今日のはレアリティ5は超えるほどのスーパーレアおっぱい写真なのになぁ~」
呪腕「いらん! そんなもの!」 フン‼︎
黒髭「まあまあそんなこと言わずにぃ~。ほれっ! 隙だらけの癖に隙の無いマシュマロオッパイちゃんの横乳写真~(ダミ声)。チョー貴重でござるよ?」
呪腕「…………」 ジー
百貌「おい」
呪腕「…………はっ!? いらん! 帰れ!」
黒髭「えーいいの~?」
呪腕「殺すぞ!」
黒髭「あらほらさっさ~」 スタコラ
百貌「ふう……本当に気持ち悪いやつだな。あんなのと連むのはやめて……呪腕?」
呪腕「…………くそっ!」 ドシャッ‼︎
百貌「(後でランスロットにチクっておこう)」
~~~~~
静謐「あ」
ナイチンゲール「静謐さん、その後の経過はどうですか?」
静謐「ん……えへ、おかげさま……で」 ニコ
ナイチンゲール「ふふ……いい笑顔です」
静謐「……ありがとう」
ナイチンゲール「これも仕事ですから」
静謐「薬が完成、したら……一番に、ぎゅーって……してあげる」
ナイチンゲール「いいのですか? 私はバーサーカーですから、抱きしめ返したらどうなってしまうかわかりませんよ?」
静謐「ふふ……」
静謐「ナイチンゲール、怖い♪」 ニコ
おわり
個人的にこの二人の絡みを見たかった
ナイチンゲール有能かよ
ほのぼのしたわ
福袋で婦長が来た俺の心が少し穏やかになった