凛「だって、アンタだけ色んな女の子取っ替え引っ替えしすぎてるじゃないのよ」
ザビ子「そうだね。アーチャーはちょっと節操無さ過ぎだから心配。マスターとして」
ぐだ子「うんうん。だからこの際、誰をマスターとして選ぶのかエミヤに直接聞こうってなってね」
エミヤ「しょ、正気かキミ達! そもそも、それぞれに作品が違うのだから、マスターが変わるのも致し方無いことであってだな――」
凛「いやそういうのいいから」
エミヤ「なん……だと……!?」
凛「パパッと誰を選ぶのか言いなさいよ」
ザビ子「ほら早く」
ぐだ子「一言名前を言うだけだよ?」
エミヤ「その一言を言っただけで巨大な爆弾が爆発することは目に見えているわけだが!?」
凛「何よ、心外ねアーチャー。アナタ、自分のマスターが信用できないっていうの?」
ザビ子「そうそう、サーヴァントであるアーチャー自身から誰が良いかを聞かされたなら、皆納得するに決まってる」
ぐだ子「そんなわけで、はいどうぞ」
エミヤ「な―――」
エミヤ「(なんなのだこれは……どうすればいいのだ……!?)」
凛「…………ふう、分かってたけどすぐには結論出しそうにないわね、これは」
ザビ子「じゃ、凛。予定通りに」
ぐだ子「うん、予定通りに」
凛「ええ。―――わたし達のプレゼンを始めます」
エミヤ「………………は?」
凛「まずはわたし、遠坂凛から」
エミヤ「ぬるっと始めたな……」
凛「(無視)初代SNのアーチャーのマスターにして、わたしのルートは映画化一回、アニメ化一回の超大人気っぷりを誇っているわ」
エミヤ「自分から言うのか……」
凛「プレゼンって言ったでしょ? アピールしていかなきゃ。……で、そうね。まあわたし達の関係は切っても切り離せないモノとして世間も認識してるから」
凛「強い理由もないけど、アーチャーのマスターには、わたしが一番相応しいのは決まっている。これはもはや決定事項であって、自然の摂理みたいなものよ」
エミヤ「待て、凛のパートナーに相応しいのは衛宮士郎であって私ではないだろう!?」
凛「アンタ、何聞いてたのよ。誰がアンタのマスターに相応しいかを決めるって話よ? 今は士郎は関係ないでしょ。大体、それを言ったらあんたも士郎じゃないの」
凛「……あそっか、遠回しにわたしが一番いいって言ってくれてるのね!」
エミヤ「いや……」
凛「いやって何よ!?」
ザビ子「それじゃ次は私かな」
凛「く、クールね、貴女……」
ザビ子「それが長所の一つだから。それで、私は……月の表側で一回、月の裏側で一回の二回、SE.RA.PHで行われた聖杯戦争でアーチャーとは組んでるよね。後者は聖杯戦争じゃないけど」
ザビ子「でもどっちも、地球を守るための大きな戦いだった。最弱からのし上がって、ついに勝利を掴んだその過程はもう、語るまでもないかな」
ザビ子「ついでに言うとね、アーチャールートのエンディングとか、ね。ほらね」
ザビ子「まず相思なのは間違いないと思う。愛まであるのかは分からないけど」
エミヤ「待て、今の話ばかりはツッコミどころが―――」
ザビ子「黙ってアーチャー。次はぐだ子さんだから」
エミヤ「…………」
ぐだ子「それじゃ私なんだけど……この中じゃ一番の新参者だし、そこまで語れることも二人みたいに多くはないからなぁ」
ぐだ子「でも、エミヤは私を選ぶと思うんだ」
エミヤ「!?」
ぐだ子「だって、担っている使命が大きすぎるもの。焼却された未来を取り戻す、史上最大の聖杯戦争。私を否定するってことは、人理を否定するってことと同義だしね」
エミヤ「おお、もう……それは脅しと同義じゃないのか……」
凛「さて、プレゼンも終わった所で聞こうじゃないの。―――アーチャー、アンタは一体誰を選ぶの?」
エミヤ「本当に選べというのか? 今のめちゃくちゃなプレゼンで? 誰かを?」
凛「当然でしょ。そのために色々な次元とか都合とかを越えて集まったんだから。ゼルレッチ的なアレで」
ザビ子「SE.RA.PH的なアレで」
ぐだ子「出来ないと思うけどレイシフト的なアレで」
エミヤ「違う、集まり方なんぞ聞いていない。……ああクソッ、ではまずひとつ!」
凛「お?」
エミヤ「まず、ザビ子……でいいのか? 呼び方は」
ザビ子「うん。都合上仕方ない」
エミヤ「う、うむ。まず君だが、組んでいたのは厳密に言えば私ではないだろう?」
エミヤ「君と組んでいたのは『無銘』であって英霊『エミヤ』ではない。同一存在ではあっても同一人物ではないのだ。辿ってきた歴史と世界が違う」
ザビ子「…………それじゃ、アーチャーは私を選ばないんだ……」
エミヤ「ま、待て! 早とちりするな! 私が『無銘』であれば、まず間違いなく君を一番と宣言するだろう。それは同一存在である私が保証する!」
凛「なぁっ!?」
ぐだ子「えっ!?」
ザビ子「(無言で拳を高く突き上げてガッツポーズ)」
エミヤ「だが! ……だが、エミヤとして顕現している私は、君を選ぶことはない。それは理解してくれるか?」
ザビ子「言い訳するんだ、アーチャー」
エミヤ「言い訳ではなく正当な理屈だろう!?」
ザビ子「今日から別の部屋で寝よう」
エミヤ「ごふっ」
凛「あ、アンタ達同じ部屋で寝てたの……!?」
ぐだ子「うわー、これ勝てないかも」
エミヤ「なんでさ! それは無銘の話であってオレじゃないってさっきから言ってるじゃないか!!」
凛「でも同一存在なんだから一緒じゃないの」
エミヤ「無銘と私は別人だ! いや、同一存在だが別人なんだ!」
凛「存在が一緒なら一緒ってことでしょ」
ぐだ子「……なんかこう、苦し紛れの浮気の言い訳みたいに聞こえてきた。同一存在の別人だから浮気しても大丈夫みたいな」
エミヤ「事実なんだよおおおおおおおおおおおお!!」
ザビ子「まあ、私は一抜けでもいいよ、アーチャー」
エミヤ「……なに?」
ザビ子「とりあえず不動の一位ということが分かったから」
エミヤ「私じゃなくて無銘的に不動の一位ということだからな!? そこ大事だぞキミ!?」
ザビ子「はいはい」
エミヤ「クソッ、納得いかない……そのドヤ顔やめろ!」
ザビ子「いいから早く話を進めないと」
エミヤ「ぐぬぬ……。では次だが。…………次、だが。……ぐだ子」
ぐだ子「お、私」
エミヤ「うむ。キミは自分でも言った通り、担っている使命は大きい。私も、それに加担出来ている現状は大いに誇りに思っている」
ぐだ子「うんうん」
エミヤ「だが! だが……その……なんだ。ベストパートナーかと言われれば、その…………違うだろう?」
ぐだ子「―――」
凛「ぐだ子が失神した! 一番の新人になんて酷い仕打ち!」
ザビ子「この人でなし!」
エミヤ「だってぐだ子のベストパートナーと言えばマシュ嬢がいるじゃないか! そこのポジションが私だと物語全体にすら影響が出てしまうだろう!?」
ぐだ子「正論だけ言って納得させようとする男の人って……」
凛「無駄よ。コイツには女心のなんたるかなんて、それこそ士郎の頃から一つも分かっちゃいないんだから」
ザビ子「信じられない」
エミヤ「八方塞が理不尽すぎるだろう……!?」
凛「とりあえず、ぐだ子もベストじゃないのよね。ということは……アーチャーが思うベストパートナーって? もう言わなくても分かると思うけど?」
ザビ子「……薄々、わかってはいたけど」
ぐだ子「歴史が違うしね……」
エミヤ「まあ、凛などとは一言も言っていないわけだが?」
凛「なぁっ!?」
エミヤ「キミは魔術師としては文句ない程に優秀ではあるが、私を使役しきるにはまだまだ未熟すぎる」
エミヤ「考えてみたまえ。キミの力で私のフルスペックを出しきったことなどあったかね? ないだろう? つまりは、ベストパートナーとしても一手足りないのだよ」
エミヤ「また今のように、まだ出ていない結果に対し勇み足で勝ち誇ってしまうような所も未熟さの一端だ」
エミヤ「よって、私が出す結論はこうなる。私にとってのベストパートナー、相応しいマスターなぞ、現在の所はいな―――」
凛「いない、なんてハーレム発言が」
ザビ子「許されるとでも」
ぐだ子「思っていたのか?」
エミヤ「!?」
凛「いい? アーチャー。私の右手には三画の令呪があります」
ザビ子「私の右手にもあります」
ぐだ子「同じく私にもあります」
エミヤ「全部で九画……だと……!? いやまて、早まるな! そんな令呪で強制した結果を得たとしても―――」
凛「黙りなさい! 令呪を以って命ず!」
ザビ子「アーチャー、誰が貴方の一番のマスターに相応しいのか」
ぐだ子「その本心を、包み隠さず話しなさい! ……というのは置いといて」
エミヤ「えっ」
凛「ふふふ、そんなことに令呪は使わないわよ。アーチャー、貴方―――」
ザビ子「一度くらいはさ、痛い目を見といたほうが」
ぐだ子「いいよねっていう話になってね?」
エミヤ「えっえっ」
凛「というわけでぇ! 全ての令呪を以って命ず!」
ぐだ子「この聖杯戦争や月の戦いやグランドオーダーという使命がある中、浮かれた話題で調子に乗るようなアーチャーに命ず!」
ザビ子「―――爆ぜて、アーチャー!」
エミヤ「なんでさあああああああああああああああああああ!!(流星九条)」
凛「……一言言わなくても、巨大な爆弾が爆発したわね、アーチャー……」
ザビ子「アーチャーって、こんなに綺麗だったんだね……」
ぐだ子「六十億の……人類と……エミヤ、一人。……私は、エミヤを爆発させて……世界を……救う……!」
エミヤ「お前達は……全部、間違っている……がふっ……」バタリ
終わり
おう、お前の嫁も最近分裂してはっちゃけてるぞ
なんとかしろよ
コメント
エミヤなら凛一択では
エミヤと無銘は一応別物だろ